流れが変わる

 三日続けて流れが変わるのを見ました。
 土曜日、フロンターレの試合があって家の前をたくさんの人がゾロゾロ競技場に向かって歩いていました。
いつも、人は決まって一番分かりやすい大きな道沿いに歩いて行きます。
 土曜日の夕方、ルイを連れて人がたくさん通る道の真ん中にいました。 すると、家族連れの人が寄ってきて、その中のお父さんと思われる人が競技場への道を聞きました。
 こんなに人がゾロゾロ歩いているのだから、聞かなくても付いて行けば競技場に着くはずなので、今までほとんど道を聞かれたことは無かったんだけど。
 それで、咄嗟に私は自分がいつも行く、細い道を指差して近道を教えました。
 すると、私が指差しているのを見ていた人、その家族連れの人、それからその後から来た人全部が次々と細い道に消えて行き、完全に人の流れが変わってしまいました。


 日曜日、セラピードッグ訓練会のために銀座に行きました。
 少し早めに着いて、四丁目の三愛ビルの2階で外を眺めながら食事をしていました。
 今まで何度も銀座の歩行者天国を歩きましたが、通常の交通から歩行者天国に変わる瞬間は初めて見ました。
12時数分前、道の両側でお巡りさんが待機し、信号の合間を縫ってゲートを並べます。 両方からの車の流れを見ながら、三回くらいの信号待ちの時間で完全に車をシャットアウト。
 あぁ、こうやって流れを変えるんだな、と何となく昨日の人の流れのことを思いだしながら眺めていると、一台の車がゲートのところまで来て立ち往生。 どうするかと思っていたら運転手が降りてきて自分でゲートを開け、その隙間からさっさと出て行きました。・・・後は閉めずに。 
 うむむ・・・無理にルールで流れを変えようとすると気分を悪くする人が出るし違反者も出るということか?


 月曜日、シュ太とルイが歩道で横になっていると怖い顔のおばさんが通りかかり、睨みつけるようにしながら歩道を降りて横を通り過ぎようとしました。
 その時主人が「すみませんね。年寄り犬なもので動けなくなって休んでいるんですよ」と声をかけました。
 すると、一瞬の内にその人の表情が柔らかくなり「そうだったの。大変ねぇ。犬も人間も年をとると色々あるわよね」とニコニコしながら行ってしまいました。
 たった一言でその場と、その後に続く人達の雰囲気が変わった瞬間でした。