あのおじちゃん、だれ?

 我が家を新築して新しい家に住むことになった当日、主人はまだ会社。 私は新築が嬉しくて未だやったことがないことをやりました。 当時5歳だった息子と3歳になったばかりの娘と一緒に新しいお風呂に入るのに浴室のドアを開けっ放しにして入ったのです。
 私が娘をだっこして湯船に気分良くつかり、浴室のドアを背にしてました。
 その時娘が「ママ、あのおじちゃん、誰?」と言ったのです。
 その時背筋から全身に渡った鳥肌を今でも憶えています。
 一瞬後、私は湯船を飛び出して浴室の鍵を締めました。そして最初に思いついたのは、泥棒です。
じっと耳をすませ、そーーっとドアをあけてから、和室、居間、玄関と恐る恐る調べてまわり、どこの鍵もしっかりとかかっているのを確認してからまたお風呂に戻りました。どこも異常無し。
 娘にどんなおじちゃんだったのかを聞くと「あのね、頭がぼさぼさでね、あっち(玄関側)からこっち(和室行き止まり)に歩いて行って、こんなお手てしてた」と・・・例のあの手の格好をするじゃないですか。3歳の娘がそんな格好を知っていますか?
 またしても私の鳥肌は・・・・・・
 でも、すぐにピンと来るものがありました。新築する1年前に亡くなった主人のお父さんに違いないと。それでいくらか安心。
 なのでお風呂を出てからすぐに娘に写真を見せて「このおじちゃんでしょ」と聞いてみました。
 そしたら「ううん。違うおじちゃん」と言うのです。
 ええっっ!・・・あのお手手の格好をしたおじちゃんっていったい誰?
 私がその後二度と浴室のドアを開けたままお風呂に入ることが無いのは、おわかりですよね。

 ビルの3〜5階って、霊界の通り道ってことが多いんですって?